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平成14年度 研究成果レポート(農業) 抜粋

1)ブドウ成木剪定方法変更時における収量および品質
〔成果情報20-2〕
都内火山灰土壌地域のブドウ園では、樹勢が強いため枝梢管理がむずかしく、安定生産が困難な状況です。そこで、 11年生'紅伊豆、高尾'を従来の剪定方法である長梢剪定(以下:長梢区)から枝梢管理の簡便な短梢剪定(以下:短梢区)に樹形を変更し、生育、収量を比較しました。 '紅伊豆'は短梢剪定へ変更2年目で長梢剪定とほぼ同様な収量となり、果房重、着色も良好なので、短梢剪定への変更が有利と判断しました。 '高尾'の場合は、短梢剪定で着房数が長梢剪定同様に確保でき、着色、糖度も高く品質は良いものの、果房重が小さいため長梢剪定より収量が少なくなりました。 窪田洋二
(園芸部)
2)都内におけるブルーベリー栽培の現状
〔成果情報21-1~21-3〕
都内ではブルーベリーの消費が見込まれ、栽培面積も増加しています。このため、生産者からは都内における安定生産技術の確立および適合品種の選択が求められており、栽培指針の作成が急務となっています。そこで、都内6地点でブルーベリー2品種'ティフブルー、ホームベル'の生育調査を行いました。両品種とも良好な生育を示し、栽培指標となるデータを得ることができました。土壌pHの高い圃場では、pH調整をしないと3年たっても生育が悪く、植え付け時の土壌pH調整の必要性を示すことができました。レオメーターにより、食感(果皮や果肉の硬さなど)を数値化できることがわかり、品質評価指標の一つとして活用できることが確認できました。 窪田洋二
(園芸部)
3)屋上緑化向け植物と維持管理技術について
〔成果情報23-1~23-4〕
市販の軽量人工土壌を利用した屋上用緑化植物の生育特性並びに屋上緑化モデルでの維持管理の内容を明らかにしました。20cm土壌厚の軽量土壌7種類に植栽したフイリサカキ他8種類の緑化植物と花壇苗ビンカ2品種は、生育量には違いがありますが、植栽時の活着を確実に行うことにより、屋上緑化に向いた植物といえます。また、都立広尾病院の屋上緑化モデルを用いた維持管理作業の調査から、除草・ドレイン清掃・剪定・芝の手入れなどの作業実態が明らかとなり、年間管理の作業暦を作成しました。 佐藤澄仁
(園芸部)
4)ガーデンマムRの品種特性と生育・開花に及ぼす定植本数の影響
〔成果情報27-2〕
キクは江戸時代から盛んに品種改良が行われ、特に東京(江戸)では、小菊を中心に様々な花色・草姿の品種が作出されています。江戸川区内では、戦後、江戸小菊からボサギクが選抜され、鉢・花壇植えに最適な品種として広がりました。今回紹介するガーデンマムRは、アメリカ生まれの鉢花品種群です。本試験では、花農家が導入・栽培した場合の有利性を明らかにするため、近年発表された数品種について、屋外の普通栽培の開花特性を検討しました。その結果、開花期はボサギクに比べ早く、短日数で株が仕上がることがわかりました。また、大鉢生産を想定し、定植本数と生育・開花の関係を調査しましたが、影響度は小さいと考えられました。 田旗裕也
(江戸川分場)
5)芳香性シクラメンの開花特性と施肥管理
〔成果情報18-1、26-1〕
東京都のシクラメン産地の一層の活性化を図るために、新しいタイプの芳香性シクラメンを育成しています。育成系統の商品化を目指し、開花特性の調査と施肥管理方法の検討を行いました。その結果、初秋から冬まで開花が持続する系統と、秋と春に開花数が多くなる二度咲き系統が選抜できました。春、秋の管理は窒素:リン酸:カリの各50ppm、秋、冬の管理は、窒素:リン酸:カリが100:300:200ppmでの生育が良好でした。選抜系統No.3は、開花が持続し観賞期間が長く、しかも強健で育苗しやすくコンパクトな株になることから普及性の高い系統であると考えられます。 澁沢直恵
(園芸部)
6)プリムラオブコニカにおけるプリミンの分析と品種の特性
〔成果情報18-2~18-4〕
プリムラ・オブコニカは別名トキワザクラと呼ばれ、春の訪れを感じさせてくれる可憐な鉢花です。しかし、プリミンという皮膚障害を引き起こす物質を含んだ品種が多くあるため、栽培者の労働安全や消費者に対する安全性の面で問題になっています。また近年、プリミンを含まないプリミンフリー品種が新しく発売されてきていますが、見た目ではプリミン保有品種とまったく区別がつかないのでプリミン含有の有無をめぐって生産現場を中心に混乱が生じています。こうした不安を解消するために品種の違いによるプリミン含有の有無を調べたところ、フリー品種にはプリミンが含まれないことがわかりました。合わせてフリー品種の開花・生育特性についても明らかにしました。 橋本良子
(環境部)
吉岡孝行
(園芸部)
7)夏まきビオラの生育および花壇定植後の開花
〔成果情報19-2〕
夏まき秋出荷に適したビオラの品種を明らかにしました。生産現場で必要とされる10.5cmポットの出荷までの生育調査および消費者の立場に立った花壇定植後の開花調査を行いました。生産現場で好まれる品種は、生育の揃いが良く、開花までの日数が短い品種です。さらに、夏まきビオラでは株の姿が乱れやすいため、株がしまって姿が良くできることがあげられます。消費者からは、花壇に植えた後にすぐに根付き、開花が長く続くこと、特に晩秋~冬にかけての低温期でも開花数が多いことが望まれます。これらに着目して試験したところ、東京都で生産し、花壇で育てるのに適した品種をみつけることができました。 椿 眞由已
(園芸部)
8)直売型多品目生産における作付体系の検討/澁澤英城(園芸部)
〔成果情報12-1〕
直売所の人気商品トマトとキュウリを主軸とした無加温ハウス栽培の作付体系の中に、他の高収益な野菜を加えることで良好な土壌環境を維持できれば、土壌消毒が省け、安全・省力・低コストな生産が実現できます。早熟スイートコーンの導入は5月出荷ができるうえ、ホウレンソウなど短期作物の夏作を経て、抑制栽培ができる経営的利点があります。しかし、スイートコーン作付によるネコブセンチュウやキュウリつる割病軽減効果はみられませんでした。センチュウが激発したハウスでトマトやスイートコーン、トマト青枯病が発生したハウスでキュウリやスイートコーンは、問題なく栽培できました。資材の有効利用として、同一のマルチと支柱を使った半促成キュウリと抑制トマトの連続栽培は、生育・収量が安定していました。 澁澤英城
(園芸部)
9)五日市特産'のらぼう菜'のブランド化促進に向けて
〔成果情報15-1、15-2〕
江戸時代から五日市地域で栽培されてきた'のらぼう菜'は、早春に伸びてきた花茎を利用します。甘み豊富でおいしく、栄養価も高いうえ、茹でても目減りが少ないことから、今も消費者に喜ばれています。さらなるブランド化を図るため、これまで各生産者が選抜・維持してきた系統を比較・評価するとともに、少しでも早く収穫できる技術開発をめざしました。11系統を一同に栽培して、生産者も参加して検討した結果、収量、品質、早晩生、生育、そろいや'のらぼう菜'らしさから、TN、TR、MA、IC、IS系統が高く評価されました。また、2月上中旬のトンネル栽培は早生系統の収穫期を早め、初期収量を高めました。 澁澤英城
(園芸部)
10)イージーネットハウスによる減農薬栽培技術
〔成果情報16-2〕
ネットを周年被覆したイージーネットハウス(以下、ネットハウス)による2年目の実用性について、薬剤散布回数を1回とした夏まきキャベツ栽培と無農薬によるハクサイ栽培で検討しました。キャベツ'しずはま2号'は8月20日、ハクサイ'空海70'は9月2日にセル苗を定植し、定植後は直ちにネットで密閉しました。2年目のネットハウスの透光率はネットの種類によって1~3割低下しました。しかし、7種類のいずれのネットハウス区も、薬剤散布回数9回の無被覆区に比べて上物率は高く、適期に収穫すればキャベツで85%以上、ハクサイでは60~93%の上物が収穫できました。 小寺孝治
(園芸部)
11)エダマメの食味成分からみた作型と品種
〔成果情報28-1~28-5〕
エダマメ食味成分の含有量と栽培環境との関係について試験しました。エダマメの甘味・旨味成分である糖や遊離アミノ酸の含量は収穫期の気温と強い関係があり、気温が低いほど多くなりました。また、早生系16品種を用いて5月収穫(ハウス栽培)と6月収穫の作型で糖と遊離アミノ酸含量を調べた結果、作型によって含有量の多い品種は異なりましたが、5月収穫の方が多くなる傾向となりました。以上から、低温期に収穫できるハウス栽培は食味を良くする上で優れていますが、品種選定とともに収穫期におけるハウス内の昇温防止(十分な換気)が重要と考えられます。今後は収穫後の食味成分の減少を少なくする方法の検討が必要です。 野口 貴
(江戸川分場)
12)都内共同直売所における残品発生と売上停滞の原因
〔成果情報7-1〕
都内の共同直売所には、売上が停滞し大量の残品(売れ残り)が発生している事例があります。そこで、これらの原因を生計支出との比較から明らかにしました。直売所の売上と生計支出を比較しました。すると、直売所ではお客の購買行動に添った品並べができていないことが分かりました。このことから、お客が「これ以上買えない」品目もあれば、「買いたいが物がない」品目もあり、大量の売れ残りと売上停滞を引き起こしています。このような直売所が、売上停滞から抜け出し大量の売れ残りを解消するには、現行の出荷体制をお客本位の体制に立て直すことが必要です。 谷藤家信
(経営部)
13)園芸作物に発生した新しい病気
〔成果情報36-1~36-5〕
園芸作物の病気を適切に防除するためには、原因となる病原菌を明らかにすることが重要です。そこで、まだ原因の分かっていない病気について病原菌の特定を行い、病名を付けました。(1)コマツナ斑葉病(病原菌:Phoma wasabiae)。葉に円形の斑点が沢山できて葉が枯れる病気です。原因は、ワサビ墨入病菌(菌類:カビ)によるものでした。(2)エダマメ茎枯病(Phoma exigua:病原追加)。地際の茎が焦げ、茶色になって株が萎れて枯れます。(3)オカメザサ炭疽病(Colletotrichum sp.)。夏期に激しい葉枯れを起こします。(4)ヘレボルス(クリスマスローズなど)黒葉枯病(Microsphaeropsis hellebore)。葉先や葉縁から暗色の病斑が拡大して枯れます。 竹内 純
(環境部)
14)最近発生した野菜・花きのウイルス病
〔成果情報36-7、36-8〕
最近都内で発生した野菜や花きのウイルス病について、病原ウイルスを調査しました。トマトでは、キュウリモザイクウイルス(CMV)やトマト黄化えそウイルスによるモザイク病や黄化えそ病、ナスではCMVやソラマメウイルトウイルス(BBWV)によるモザイク病やえそ斑点病、またキュウリで、ズッキーニ黄斑モザイクウイルスなどの感染によるモザイクや萎れ症状が多く発生しました。花きでは、ニチニチソウやポピー、プリムラ、クレマチスなどにCMVやBBWVによるウイルス病の発生を確認しました。 栄森弘己
(病害虫防除所)
15)施設における周年栽培コマツナの施肥改善
〔成果情報32-1、32-2〕
施設では連作が行われ、また雨があたらないため、肥料分が蓄積しやすくなっています。環境を考えた栽培を行うため、窒素の施肥量について検討しました。'夏楽天'を一年間とおして栽培したところ、生育は時期によっても施肥量によってもほとんど変わりませんでした。窒素の吸収量は生育に比例し、草丈27~28cmの時に約12kg/10aでした。生育、吸収量、土壌の状態からみて、時期に関係なく3.5~7kg/10a/作に最適な施肥量があると考えられます。現地圃場での栽培をみると、窒素吸収量は品種により多少変わりますが、栽植密度をある程度同じにすれば、品種が変わっても吸収量は生育量をみることで判断することができます。 丸田里江
(環境部)